• 相続税

『申告期限までに遺産分割協議が調わない場合はどうすればよい?』

税理士法人サポートリンクの福村です。
今回は、『申告期限までに遺産分割協議が調わない場合はどうすればよいのか?』について考察させていただきます。

 

相続税の申告書は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、納税地の所轄税務署長に提出することになっています。
災害やその他やむを得ない事由があったことを等により、相続の申告書を法定期限までに提出できない場合には、税務署長等の職権又は納税義務者からの申請によって、法定申告期限を延長することができます。ただ、『遺産分割が調っていないという理由』だけでは、申告期限を延長することはできません。
そのため、分割協議が成立していない時には、各相続人が、民法に規定する相続分又は包括遺贈(具体的な財産を特定しないという趣旨)の割合に従って財産を取得したものとして、相続税の計算(相続税法55)、申告、納税することになります。
同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した相続人等が2人以上いる場合は、共同で相続税申告書を作成し、連署して提出することができます(相続税法27条5項、相続税法施行令7)が、申告書の共同提出についても意見が合わない時は、申告期限までに各人が単独で申告書を作成し、提出することになります。
遺産のすべてが分割されていない状態で申告をした場合には、下記(*)のような相続税法上の優遇措置が受けられず、相続税が割高になることになります。
その上、未分割の不動産は管理売却等に相続人全員の同意を必要とするため、その処分も困難で、また、未分割の状態では預貯金も原則として払い戻しできないため、納税資金や債務の返済資金等を別途工面する必要が出てきます。

 

(*)相続税法上の優遇措置(但し、一部抜粋)
(1) 配偶者の税額軽減(相続税法19の2条 1項
配偶者の法定相続分と、1億6千万円とのいずれか多い金額まで、相続税が減額されますが、少なくとも配偶者の取得財産が確定いていることが要件となります。
(2) 小規模宅地 (措置法69-4①)
一定の要件を満たした事業用及び居宅用の宅地等について、50%又は80%の評価減が適用されますが、その宅地等について分割されていることが要件となります。
(3)物納
相続税の納付につき、金銭で納付することが困難で、延納でも困難である場合不動産等の財産で納付することができますが、未分割の財産については管理処分不適格として物納ができません。

 

時間の経つのは、本当に速いので、思い立ったときにすぐに行動するようにしましょう!(自戒を込めて)