青色申告について
多くの法人が「青色申告」により申告書を作成していると思います。
これは青色申告による様々な特典を享受する為です。
具体的には、
- 欠損金の繰越控除
- 少額減価償却資産の特例
などが挙げられます。
しかし、青色申告は税務署の権限により取り消される場合があります。
今回は、期限内に申告が間に合わなかった場合の取り扱いについてご説明させて頂きます。
青色申告をしている法人が、一度期限内に申告が間に合わなかったからといって、いきなり青色申告が取り消されるわけではありません。この場合にはまだ大丈夫です。
期限後申告が二事業年度、連続で続いた場合に初めて、税務署から「青色申告の承認の取消通知書」が届きます。一期目の申告については青色申告の取り消しはありませんが、二期目の申告について青色申告が取り消され、白色申告による申告書の提出があったものとして取り扱われます。
しかし、二期目が期限内に申告できなかったからといって、当初から白色申告により申告を行うことはできません。青色申告の取り消しは、税務署の通知があって初めて「取り消し」となるからです。
よって、青色申告の取り消し通知が来る前に申告をする場合には、取り消し対象年度であってもまず一旦「青色申告」として申告する必要があります。しかし、最終的には後日通知により、期限後二期目の青色申告は取り消しとなるため、繰越欠損金額や課税標準額が変動する場合する場合には修正申告書を提出しなければなりません。
繰越欠損金額や課税標準額が変動する場合とは、具体的には「赤字決算の場合」と「青色申告の特典(少額減価償却資産の特例等)により課税標準額が変動した場合」が考えられます。
利益の出ている黒字決算で、かつ、前期以前から引継いだ欠損金を充当していなかった場合には、白色申告になった場合でも繰越欠損金額や課税標準額が変動せず、差が生じないため、修正申告の必要はありません。
【修正申告が必要な場合】
- 赤字の場合には繰越欠損金に変動が生じるため修正申告が必要。
- 青色申告による特典(少額減価償却資産の特例など)を利用している場合には課税標準額が変わるため修正申告が必要。
【再度青色申告承認申請書を提出する場合】
青色申告が取り消しとなった場合でも、再度青色申告の適用を受けることが可能です。
改めて、「青色申告の承認申請書」を提出し再承認を受けることになりますが、青色申告の取消の通知日から1年間は、「青色申告の承認申請書」の再提出できません。
- 青色申告の取り消しの通知日から1年間は、青色申告承認申請書の提出は出来ない。
例えば、3月決算法人が、平成27年3月期と平成28年3月期の2期連続で期限後申告を行い、平成29年2月に取消通知書が届いたとします。
1年間は承認申請書の再提出はできませんので、平成30年3月に再提出し、平成31年3月期から青色申告の再承認となります。
青色申告の承認申請書の提出期限は、青色の適用を受けたい事業年度開始の日の前日までとなっています。
平成27年3月期(期限後申告)・・・青色
平成28年3月期(期限後申告)・・・白色
平成29年3月期(期限内申告)・・・白色、取消通知書
平成30年3月期(期限内申告)・・・白色、承認申請書再提出
平成31年3月期(期限内申告)・・・青色
上記を見て頂ければお分かりになると思いますが、一度青色申告の取り消しをくらうと、最低でも3期分は白色申告が続くことになります。
この白色の期間に発生した欠損金は、もちろん繰り越すことはできませんが、平成27年3月期以前の青色の繰越欠損金がまだ残っている場合には、繰り越すことができます。