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事前確定届出給与

法人の役員に支給する給与については、損金に算入できるものが限定されております。損金に算入できるものの代表例として、定期同額給与という毎月同額を支給する給与が一般的ではありますが、一部の会社ではその状況に応じて上記定期同額給与に加えて事前確定届出給与という給与を支給するケースもあります。今回はこの事前確定届出給与を見ていきたいと思います。

 

まず、事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する定めに基づいて支給する給与(定期同額給与、利益連動給与を除く)で、一定の期限までに、その納税地の所轄税務署長に届出を提出しているものを言います。

 

この事前確定届出給与とは、その名前の通り事前に「いつ」、「誰に」、「いくら」支払うかを確定させておき、その内容について所轄税務署長に届出をします。ここで注意しなければならないのは、上記の「いつ」、「誰に」、「いくら」というのは厳守しなければならないということです。例えば、6月と12月に役員Aに対して、100万円ずつ支給する旨の届出をしたとします。このケースにおいて、6月は役員Aに対して100万円を支給したものの、12月は少し資金的に厳しく50万円の支給だった場合、この届出と異なる12月の50万円のみならず、6月に支給をした100万円も損金として認められない可能性が高いです。

そもそも役員給与による会社の自由な利益操作を防ぐために役員給与の損金算入の規定が設けられており、かつ、事前確定届出給与は届出を要する制度ですので、税務当局も厳格に対応するものと思われます。また、法人税では損金と認められないものの、実際には150万円を受け取っておりますので、この150万円については所得税や住民税、社会保険の対象となります。

 

一方で、このケースにおいて6月、12月ともに支給がないような場合は、もともと支給がないものについては否認ができる要素がないので、特段ペナルティはないものと予想されます。ただし、制度の悪用とみなされると印象はあまりよろしくはないので、やむを得ない場合を除いては決められた額を支給するお勧めします。

そして、この事前確定届出給与ですが、いつでも提出できるというのでは意味がないので、その期限が下記のように定められています。

(1)原則

下記の日の内いずれか早い方となります。

①株主総会、社員総会またはこれらに準ずるもので、事前確定給与に関する決議をした場合、その決議をした日から1ヵ月を経過する日

②その会計期間開始の日から4ヵ月を経過する日

※新設法人が、その設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日から2ヵ月を経過する日

(2)臨時改定事由により定めをした場合

臨時改定事由によりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合は、次のいずれか遅い日

①上記(1)の①または②のいずれか早い日(新設法人の場合は、その設立の日以後2ヵ月を経過する日)

②臨時改定事由が生じた日から1ヵ月を経過する日

(3)事前確定届出給与に関する定めを変更する場合

すでに上記(1)または(2)の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次の事由によるものである時の、その変更後の定めの内容に関する届出の期限は次のそれぞれの日

①臨時改定事由

その事由が生じた日から1ヵ月を経過する日

②業績悪化改定事由(給与減額の場合)

その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1ヵ

月を経過する日

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