消費税の納税義務者
税理士法人サポートリンクの吉平です。
国内取引の納税義務者は、事業として、資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行った事業者です(注)。この事業者とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものは、法人とみなされます。 事業を行っていない給与所得者などは消費税の納税義務者にはなりません。国や地方公共団体、公共法人、公益法人等などが資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行う場合は、消費税の納税義務者となります。
事業者であっても消費税がかからない免税点が設けられており、基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されます(注)。 この課税売上高は、輸出取引なども含めた消費税の課税取引の総額から返品を受けた金額や売上値引き、売上割戻しなどを差し引いた金額で、消費税額と地方消費税額は含まないこととされています。 なお、基準期間が免税事業者の場合は、その基準期間である課税期間中の課税売上高には、消費税が課税されていませんから、税抜きの処理を行わない売上高で判定します。
(注1) その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。 ※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。
ただし免税点以下の事業者であっても、選択により課税事業者となることもできます。この場合は、原則として課税事業者になろうとする課税期間の前の課税期間中に、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」(以下「選択届出書」といいます。)を提出することが必要です。 なお、この選択届出書を提出した事業者が、課税事業者をやめ免税事業者に戻ろうとする場合は、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者選択不適用届出書」(以下「不適用届出書」といいます。)を、課税事業者をやめようとする課税期間の前の課税期間中に提出することが必要です。 ただし、一定の場合には、事業を廃止した場合を除き、それぞれの日以後でなければ不適用届出書を提出することができません。
また 新たに設立された法人については、設立当初の2年間は基準期間が存在しないことから、原則として免税事業者となります(注)。 ただし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人(以下「新設法人」といいます。)や特定新規設立法人に該当する法人の場合、その基準期間のない事業年度については、納税義務は免除されません。
(消法2、3、5、9、9の2、12の2、12の3、12の4、28、消令5、平22改正法附則1、35、平23.6改正法附則1、22、平24改正消法附則1、4、平28改正法附則32、消基通1-4-5)
事業をはじめて1期目、2期目に消費税がかかってこない理由がこのためです。