暦年贈与について

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

相続税対策として先に考えることは財産を減らすこと、つまり生前に次世代に財産を移転してしまうことです。

「暦年贈与」が基本ですが、110万円の非課税枠を利用し配偶者や子供や孫に何年もかけて贈与します。例えば8,000万円の財産がある人で配偶者1人、子供2人、孫2人いるとした場合に、10年かけて暦年贈与をした場合は、次の通りになります。

 

<贈与財産>

110万円×5人×10年=5,500万円(贈与税非課税)

<相続財産>

(1) 8,000万円-5,500万円=2,500万円(正味財産)

(2) 110万円×3人×3年=990万円(生前贈与加算(孫への相続遺贈なし))

(3) (1)+(2)=3,490万円(相続税の課税価格)

<課税遺産総額> 

3,490万円(課税価格)-4,800万円(基礎控除)<0円

 

この場合、相続税の基礎控除は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)になり、課税価格3,490万円よりも大きいので相続税はかからず結果として相続税も贈与税も無税ですが、生前贈与をしなかった場合は、課税遺産総額3,200万円(課税価格8,000万円-基礎控除4,800万円)になり、相続税の申告が必要となり相続税を納付しなければならない可能性が高いです。なお、暦年贈与での注意点ですが、毎年の贈与契約書が無い場合、毎年分割贈与とみなされ、贈与した財産総額に贈与税がかけられたり、名義贈与の場合は相続財産とみなされ相続税がかけられたりします。ほかに大口生前贈与で贈与税の非課税規定として、婚姻期間20年以上の配偶者への居住用不動産等の「贈与税の配偶者控除」、親から一定年齢の子や孫への「住宅取得等資金贈与の非課税」、「教育資金の一括贈与の非課税」、「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税」などがありますが、これらには相続時に生前贈与加算はなく相続税対策としても極めて有効です。考慮されては如何でしょうか。

この記事を書いた人

税理士 河地 孝明