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社宅の税務上の取扱いについて

税理士法人サポートリンクの東石です。今回は社宅の処理方法について説明をさせていただきます。賃貸住宅に関しまして、個人契約の場合と法人契約の場合について、その取扱いの違いを質問されるケースが多いです。

 

社宅の処理方法について

個人契約の場合

個人契約の場合は、契約に関する諸費用や家賃を個人が支払うため基本的には法人の損金にできるものはありません。もし法人が損金に計上できるとすれば、手当という形で給料を支給するしか方法はありませんが、手当を支給すれば所得税、住民税が上がるのはもちろんのこと、社会保険料も上がる可能性があります。また、役員の場合は役員報酬を決定するタイミングが期首から3ヵ月以内と決められておりますので、そのタイミング以外で増額した場合は、その増額分については損金として認められません。

法人契約の場合

一方で法人契約の場合は社宅という扱いになります。この場合は法人が契約者となりますので、法人が家賃を支払うことになります。ですので、法人が支払う家賃は法人の損金として計上することになります。また、それ以外にも敷金、礼金といった初期費用がかかりますが、これも法人で負担をすることになります。敷金のような退去時に返金があるようなものは支出時に資産計上とし、返金時にはその資産を取り崩す形となりますので、損金には計上されないですが、一部退去時の原状回復費用等に充てられるような場合はその部分は損金となります。また、礼金や敷き引きといったすでに最初から返金がされない支出に関しましては、法人の損金として処理することが可能です。ただし、支出年度で全額を損金処理できるのは20万円以内の金額ですので、20万円超の場合はその全額が繰延資産として資産計上され、原則5年間で償却がされます。

 

社宅の場合は、法人が家賃を支払う

前述の通り、社宅の場合は、法人が家賃を支払うのですが、住むことになった従業員、役員個人からは賃料相当額を徴収しなければなりません。この家賃に関しましては、給料から徴収することになり、その徴収金額は会社の収益として計上されます。例えば、会社が支払う家賃が10万円として、個人から徴収する賃料相当額が2万円とした場合、実質的に差額の8万円が法人で計上できる損金となります。

 

賃料相当額について

この賃料相当額につきましては、所得税法において下記のように計算の基準が定められております。
(1)~(3)の合計額が賃料相当額となります。
(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
(2)12円×(その建物の総床面積/3.3平方メートル)
(3)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 

役員につきましては、家賃として徴収する金額が上記の賃料相当額に満たない場合はその満たない金額が給与として課税されます。また、従業員の場合は上記の賃料相当額の50%以上を家賃として徴収しておれば給与課税はされませんが、50%未満の場合は賃料相当額と家賃徴収額の差額が給与課税の対象となります。(所得税法第9条、36条、所得税法基本通達36-15、36-40,41,42,45,47)
また、役員の場合は、その社宅が小規模な社宅(法定耐用年数が30年以下の建物の場合は床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年超の建物の場合は床面積が99平方メートル以下の住宅)でない場合は、(1)と(2)の合計額の12分の1、もしくは会社が家主に支払う家賃の50%の金額のいずれか多い金額が賃料相当額となります。

 

(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%(法定耐用年数が30年を超える建物の場合は10%)
(2)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

 

この場合も、役員からの家賃徴収分が賃料相当額に満たない場合は、その満たない金額は給与として課税されることになります。
ただし、床面積が240平方メートルを超える住宅の内一定の要件に該当するものや、プールや個人的な設備が施されているような物件は、豪華な社宅として判断される場合があり、そのような場合は家賃が全額賃料相当額となります。(所得税法第36条、所得税法基本通達36-15、36-40,41,42)

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