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法人が所有する有価証券について

法人が所有する有価証券については、その所有目的や種類により取り扱いが異なります。今回は法人が所有する有価証券についてまとめていきたいと思います。

(1)有価証券とは

まず、有価証券とは株式や新株予約権証券、投資信託等の受益証券の他、国債、地方債や社債などがあげられます。また、細かいところで言えば、合名会社や合資会社、合同会社等の持分会社の社員の持分も有価証券に含まれます。

(2)有価証券の譲渡損益について

有価証券の譲渡損益は下記の計算式により計算されます。

譲渡損益=譲渡対価の額-譲渡原価の額

①有価証券の譲渡原価の額

この場合の譲渡原価の額は、同一種類・銘柄ごとに1単位あたりの帳簿価額を算出し、その価額に譲渡数を乗じて計算されます。

②1単位あたりの帳簿価額

1単位あたりの帳簿価格は、移動平均法もしくは総平均法により計算されます。ここに言う移動平均法とは、有価証券を取得する都度1株あたりの平均単価を計算する方法を言い、一方で、総平均法は、期首に保有する有価証券とその事業年度に取得した有価証券の取得価額の合計額を総株式数で割って平均単価を計算する方法を言います。総平均法は移動平均法に比べて、期末に一度だけ譲渡原価を計算する方法なので、計算は簡便的ではありますが、期中には取得原価が判明しないというデメリットがあります。

(3)1単位あたりの帳簿価額の選定

1単位あたりの帳簿価額の算出方法は、新しい区分、種類の有価証券を取得した場合、その事業年度の確定申告期限までに選定方法の届出を行いますが、何の届出も行わない場合は移動平均法により計算します。また、選定方法を変更する場合は、その変更する事業年度開始の日の前日までにその旨を記載した届出を行うことにより変更が可能です。

(4)有価証券の帳簿価額について

有価証券の帳簿価額は、次の区分、銘柄ごとに上記の「移動平均法」または「総平均法」により計算します。

①売買目的有価証券

  • 短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得・保有する有価証券

②売買目的外有価証券

  • 償還期限の定めのある有価証券で、償還期限まで保有する目的で取得・保有する有価証券(満期保有目的等有価証券)
  • 法人の特殊関係株主等が発行済株式等の20%以上を有する場合の有価証券(企業支配株式)

③その他有価証券

  • 上記①、②以外の有価証券

(5)有価証券の期末評価

有価証券の期末評価は下記の区分ごとにそれぞれの方法により行います。

①売買目的有価証券

時価法:銘柄ごとに期末時点の時価により評価

②売買目的外有価証券(満期保有目的等有価証券、その他有価証券)

原価法:取得価額により評価(償還有価証券については、簿価と償還金額の差額のうち各期に配分すべき金額を加減算した金額(償却原価法)により評価)

(6)有価証券の評価損

①上場有価証券

法人が所有する上場株式については、著しい下落があった場合(その期末時価が帳簿価額に比べて50%以上下落し、かつ近い将来にその回復が見込まれない場合)は評価損を計上することができます。

②上場有価証券以外の有価証券

法人が所有する上場有価証券以外の有価証券については、発行法人の資産状態が著しく悪化したことによる価額の著しい低下があった場合等は評価損を計上することができます。

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