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棚卸資産の期末評価

神戸市中央区にある税理士法人サポートリンクの柴崎です。

 

今回は、棚卸資産の期末評価についてです。棚卸資産の評価方法は、法人の営む事業の種類ごとに、かつ、①商品または製品、②半製品、③仕掛品、④主要原材料、⑤補助原材料その他の棚卸資産の5つに区分して、それぞれ選定しなければならないこととされています。

 

棚卸資産の期末評価については、従来から原価法と低価法の2つの評価方法が認められていました。原価法とは、期末棚卸について、次のいずれかの方法によりその取得価額を算出し、その算出した取得価額をもって期末棚卸資産の評価額とする方法です。その方法とは、①個別法、②先入先出法、③総平均法、④移動平均法、⑤最終仕入原価法、売価還元法、のいずれかです。一方、低価法とは、棚卸資産の種類ごとに区別し、その種類の同じものについて、原価法の採用するいずれかの方法によって算出された取得原価と時価を比較し、いずれか低い価額をもってその取得価額とする方法です。この場合の時価とは、一般的に正常な条件により第三者間で取引されたとした場合における価額と回されています。なお、低価法を採用した場合には、翌期首において評価損に相当する金額の戻入れ益を計上することになります。

しかしながら、低価法については税法が再調達原価概念を採用していたため、金銀などの原材料のように時価が明確であるものにしか適用できないという問題があり、なかなか低価法を採用できませんでした。

 

しかしながら、平成19年度の税制改正により、棚卸資産の期末評価について低価法を適用する場合における棚卸資産の評価額に「当該事業年度末におけるその取得のために通常要する価額(いわゆる再調達原価)から「当該事業年度末における価額(いわゆる正味売却価額)」に改めました。すなわち、棚卸資産の期末評価は、当該事業年終了の時における価額は、当該事業年度末においてその棚卸資産を売却するものとした場合に通常付される価額であることを明確にしました。また、「棚卸資産を売却するものとした場合に通常付される価額」とは、棚卸資産を商品または製品等として売却するとした場合において通常見込まれる売却価額である。具体的には、棚卸資産の算定に当たっては、通常、商品または製品として販売するものとした場合の売却可能価額から見積追加製造原価(未完成品に限る)及び見積販売経費を控除したものをいいます。

 

なお、「棚卸資産を売却するものとした場合に通常付される価額とは、棚卸資産を商品または製品として売却するものとした場合において見込まれる売却価額であることから、棚卸資産の評価損益の計上を行う場合における時価である「当該資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡される場合に通常付される価額や、スクラップとしての処分価額とは異なります。

なお、法人が一旦採用した棚卸資産の評価方法は、継続的に適用しなければならないこととされており、みだりに変更することはできません。しかしながら、特段の事情により評価方法の変更をする必要が生じた場合には、あらかじめ税務署長に変更承認申請を行い、その承認の下に評価方法を変更することができることとされています。

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