青色欠損金の繰越控除について
法人のその事業年度開始の日前10年以内(平成30年3月31日以前開始事業年度分については9年)に開始した事業年度おいて生じた欠損金につきましては、その事業年度の損金の額に算入することができます。この場合の欠損金とは、損金の額の合計額が益金の額の合計額を超える場合のその超える金額を言い、簡単には赤字のイメージです。
ただし、欠損金の繰越控除の適用を受けるには下記の要件があります。
「要件1」
欠損金の生じた事業年度において青色申告による申告書を提出していること。
現在、白色申告法人であっても、青色申告法人の時に生じた欠損金については損金に算入することができます。
「要件2」
その事業年度開始の日前10年以内(平成30年3月31日以前開始事業年度分については9年)に開始した事業年度おいて生じた欠損金であること。
ただし、すでに所得金額の計算上損金の額に算入された金額や欠損金の繰戻還付の対象となった金額は除かれます。
「要件3」
欠損金の生じた事業年度から損金算入の適用を受ける事業年度まで連続してその明細を記載した確定申告書を提出していること。
「損金算入限度額」
(1) 普通法人のうち資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの、または資本金もしくは出資を有さないもの公益法人等、協同組合等、人格のない社団等の場合
その適用を受ける所得金額の100/100(100%)相当額を限度として欠損金を損金に算入することができます。例えばその事業年度の所得金額が50、繰越欠損金が100あった場合、所得金額の100/100である50を限度として損金の額に算入できます。そして、残りの50は期間の経過により消滅するものを除き翌年以降に繰り越されます。
(2) 上記(1)以外の法人の場合
その適用を受ける所得金額の50/100相当額を限度として欠損金を損金に算入する
ことができます。平成27年4月1日~平成28年3月31日の間に開始する事業年度の場合は所得金額の65/100相当額、平成28年4月1日~平成29年3月31日の間に開始する事業年度の場合は所得金額の60/100相当額、平成29年4月1日~平成30年3月31日の間に開始する事業年度の場合は所得金額の55/100相当額が限度となります。
「特定株主等による欠損等法人の繰越欠損金の不適用」
繰越欠損金がある法人を買収することによる租税回避を防止するために、一定の支配関係が生じた場合等の要件に該当する場合には、その事由が生じた日から5年間繰越欠損金の損金算入の適用を受けることができません。
(1) 対象となる法人
この場合の対象となる法人は、他の者による発行済株式等の50%超を直接または間接に保有されることとなった法人で、その事実が生じた前事業年度以前に生じた繰越欠損金等があるものとされます。
(2) 不適用となる要件
次のいずれかに該当する場合
①休眠会社に特定支配関係(50%超支配)が生じた場合で、特定支配関係が生じた日
以降に事業を開始すること
②特定支配日の直前の事業規模のおおむね5倍の借入、出資等の受け入れを行い、一定
の債権の取得や前事業の廃止に伴う新たな事業の開始を行うこと。
③上記事由の発生後において、残余財産が確定する場合
④全役員の退任、20%以上の使用人の退職後において、旧事業のおおむね5倍以上の
規模の新事業を行うこと