• 法人税

償却資産税とは

毎年年末になりますと償却資産の申告書が会社に届きます。

 

あまり聞き慣れないですが、償却資産税とはそもそも固定資産税の一種です。

固定資産税は所有する不動産にかかる税金ということはご存知かと思われますは、実は不動産だけでなく、事業用に所有している資産(減価償却資産)についても固定資産税が課税されます。固定資産税は地方税の一つです。不動産、償却資産どちらも、その年1月1日に所有している者が、その資産の所在地である市町村に納税をすることなり、その納税時期は第1期から第4期の年4回に分けて設定されています。

 

ただし、大きな違いは、一般的に不動産にかかる固定資産税は市区町村が固定資産課税台帳に基づき税額を計算しますので、所有者は納税だけをするイメージですが、償却資産税はまず所有者が保有している償却資産を申告するところから始まります。毎年1月31日までに、前年1年間に取得や売却等により増減した資産を申告します。そしてその申告に基づき市町村が課税を行います。

これは、不動産と違って償却資産は工場や建物内にある資産も含まれますので、外部からは全て把握することが困難であるため、自己申告の必要があるからと言えます。

償却資産税の対象となる資産は、建物附属設備や構築物、車両及び運搬具、工具器具備品、機械装置など多岐に渡りますが、自動車税、軽自動車税の対象となる車両やソフトウェア、特許権、営業権等の無形の固定資産は課税対象外となります。

この償却資産税の税率は1.4%(一部異なる市町村もあります)となっており、課税標準額に乗じて税額が計算されます。課税標準額は資産の評価額をもとに計算をするのですが、資産が複数ある場合は全ての評価額を合算したものが課税標準額となります。

評価額は原則として個々の取得価額がベースとなり、会計上減価償却を行うのと同じように資産の耐用年数に応じて評価額は目減りしていくイメージです。

 

評価額の計算方法は下記の通りとなります。

 

①前年中に取得のもの(初年度は、一律に半年償却を行います)

取得価額×(1-耐用年数に応ずる減価率×1/2)=評価額

②前年より前に取得のもの

前年度の評価額×(1-耐用年数に応ずる減価率)=評価額

以後、毎年上記の方法により計算をし、評価額が取得価額の5%になるまで償却を行います。

 

評価額の計算例は下記の通りとなります。

取得価額1,000,000円、取得時期平成29年6月、耐用年数4年の資産の場合

※耐用年数4年の場合の減価率は0.438

平成30年 1,000,000円×(1-0.438×1/2)=781,000円

平成31年 781,000円×(1-0.438)=438,922円

平成32年 438,922円×(1-0.438)=246,674円

平成35年 77,910円×(1-0.438)=43,785<50,000円 →50,000円

平成35年は取得価額の5%である50,000円を下回るので、評価額は50,000円となります。

 

また、取得価額により対象外とされるものもあり、10万円以下の少額の減価償却資産については課税対象外となります。ここで、よく見落としがちなのは、青色申告法人が一括の損金として処理をする10万円超30万円以下の減価償却資産です。これは帳簿上資産として計上がされていなくても償却資産税の対象となりますので注意が必要です。

ただし、対象となる償却資産を全て申告したとしても、その課税標準額が150万円未満となる場合は償却資産税が課税されることはありません。最初は課税標準額が150万円以上あった場合でも、年数が経過することにより課税時点で課税標準額が150万円未満となった場合は、その年分の償却資産税は納める必要がありません。

神戸で税理士をお探しなら税理士法人サポートリンクにお任せください。