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仮想通貨の税務会計処理

神戸市中央区にある税理士法人サポートリンク神戸事務所の柴崎です。今回は、仮想通貨に関する法人の会計処理について考察します。企業会計基準では、仮想通貨の期末評価は原則、時価評価するになっていますが、法人税法では時価評価しないこととされており、税務と会計で期末評価の考え方が違います。

法人税法では、短期売買商品(法人税法61条)や売買目的有価証券については、期末時点で時価評価し評価損益を認識しますが、時価評価が要求される資産は、法令で限定列挙されており、仮想通貨はこれに当たらないという立場です。したがって、価格の変動等を利用して利益を得るなど、投機目的で仮想通貨を保有している場合であっても、税務上は期末に時価評価をせず含み損益も認識しないことになります。

 

しかしながら、法人税法における短期売買商品とは、法人が短期的な価格変動を利用して利益を得る目的で取得した資産をいいますが、仮想通貨がこの短期売買商品に該当する余地があるとの見解が「週刊税務通信№3497号」が掲載されたのです。

 

短期売買商品には、①専担者売買商品と②帳簿記載短期売買商品の2つがあります。

 

①専担者売買商品とは、「金、銀、白金その他の資産のうち、市場における短期的な価格変動又は市場の価格差を利用して利益を得る目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行ったもの」であり、代表者自らが専担者として仮想通貨トレードのみを営む法人は、これに該当すると考えられる余地があると考えられます。
②帳簿記載短期売買商品とは、「金、銀、白金その他資産のうち、その取得の日において短期売買目的で取得したものである旨を財務省令で定めるところにより帳簿書類に記載したもの」で、法人が資産を取得するに当たって、その取得の日に法人自らが資産の取得に関する帳簿書類において、短期売買目的で取得した資産の勘定科目をその目的以外の目的で取得した資産の勘定科目と区分することにより記載が行われていることが必要です。

 

例えば、仮想通貨そのものの売買を「短期売買目的仮想通貨」勘定で処理し、ICOに資金拠出したものを「ICO目的仮想通貨」勘定で処理すれば、これに該当する余地があると考えられます。

 

活発な市場がある仮想通貨を法人が短期的に頻繁かつ大量に売買しているような場合、期末時に時価評価をしないとすれば、それぞれの売却時点で、正確に損益を確定する必要があり、実務的には大変な作業となります。
仮想通貨に関しては、2017年に爆発的にその資産性が高まったため、その税務会計の基準は決して不変的なものとはいえず、これからも変わる可能性はあるでしょう。それでも、法人での仮想通貨トレードは行われています。税務の専門家は、顧問先に迷惑がかからないよう、個々の顧問先に対して適正な税務会計処理を行う責任があるのです。