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事業者にかかる消費税の負担

税理士法人サポートリンクの前田です。今回は、課税事業者にかかる消費税の負担についてお話ししたいと思います。

 

消費税は皆様ご存じだと思います。何か買うたびに本体代金の8%を支払う事になる税金ですね。この消費税を納付する義務のある人を課税事業者と言います。課税事業者になると、商売をしてお客様からお金をもらった際預かった消費税から、商品の仕入れなどで支払った消費税額を控除した残額を納付する事になります。つまり、預かった消費税から預けた消費税の差額を税務署に納めるため、基本的には課税事業者は消費税を負担する必要が無い事になります。課税事業者が負担するのは、消費税の計算及び納税の手間のみとなります。こういった税金を間接税と言い、実際納付する人とその税金を負担する人が異なる税金を言います。と言うのが税法上のお話です。(消費税法28条・30条)

 

では、課税事業者は、負担を感じないのでしょうか。答えは「いいえ」です。実際は負担を感じる方が多いと思います。では、預かっているお金を納付するだけなのになぜ、負担を感じるのでしょう。ポイントは2つあります。

 

第一に、事業者が負担する税金の一つである法人税と比べると、大きな違いは利益がなくても納税する必要がある点です。法人税は利益に対して税率をかけるため利益がゼロであれば、税金を納める必要がありません。しかし、消費税は仮に赤字であっても納める必要がある場合があります。例えば、売上げ2000万円(税抜)があり160万円の消費税を預かったとします。そして、商品を仕入れるために1000万円(税抜)があり、80万円の消費税を支払いました。さらに従業員へ給与として1000万円を支払いました。給与には消費税がかからないので、支払った消費税はありません。結果、2000万円の収益と2000万円の費用が計上され利益はゼロとなります。よって、法人税はかかりません。しかし、消費税は預かった額が160万円に対し、支払った額が80万円のため、80万円の納付が必要となります。

 

第二に、事業者にとって保有している金銭に預かっている分(消費税分)が含まれていると認識する事が困難であるためです。実務上、社内や店舗などの金銭を消費税分とその他を完全に分けて管理する事はできません。もし、完全に分けようとするならば、お客様からお金をもらったらすぐに消費税分は、消費税用の財布に入れ、それ以外のお

金と分ける必要があります。さらに仕入をする場合は、本体代金は通常の財布から、消費税分は消費税用の財布から支払う形をとる事になります。明らかに手間がかかりすぎますし、実際は銀行を通した入出金などもあるので、完全に分ける事は不可能です。そのため、事業者は預かった消費税分の金銭と事業者の自身の金銭が混ざった状態で保管・管理する事になります。すると消費税の預かっている部分があるという認識は薄れ、納税の際負担を感じる事になります。

 

上記のような理由から税法上負担がないはずの、消費税について負担を感じる事になります。負担感を完全に取り去る事は難しいですが、小まめに会計入力を行い、消費税の預かり分及び支払い分を把握する事が、負担感の軽減につながるかと思います。

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