会社設立時の消費税
まず消費税の納税義務を免除される免税事業者となるためには一定の要件があり、一定期間における課税売上高、法人の場合には資本金の額により判定されます。ほとんどの場合は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であれば、免税事業者と判定することができます。
ただし以下のいずれかの要件を満たす事業者は課税事業者に該当することとなり、免税事業者となることはできません。
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1 基準期間における課税売上高が1,000万円超である。
課税期間の消費税の確定申告の要否及びその計算方法を決定するために基準とする期間をいいます。
その事業年度の前々事業年度が一年ある場合はその事業年度の前々事業年度
一年ない場合はその事業年度開始の日の2年前の日の前日から1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間となります。
2 特定期間(注4)における課税売上高、および給与等支払額が1,000万円超である。
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者となります。
(注) 特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定については、課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等の金額により判定することもできます。給与等の金額とは、所得税法施行規則第100条第1項第1号《給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書》に規定する給与等の金額をいうことから、当該給与等の金額とは、所得税の課税対象とされる給与、賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当、旅費等は該当せず、未払額は含まれません。
また、出向契約に基づき出向先事業者が出向元事業者に対して支払う給与負担金については、出向する使用人に対する給与を出向元事業者が支払い、その支払明細書を出向元事業者が交付する場合には、出向元事業者の給与支払額となるため、出向先事業者における特定期間の給与支払額には該当しません。
この場合の特定期間とは、個人事業者にあってはその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人にあっては原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。
消費税法第9条の2、消費税法施行令第20条の5、第20条の6消費税法施行規則第11条の2、消費税法基本通達1-5-23
3 設立から2年以内で、資本金の額、または、出資の金額が 1,000 万円以上である。
1,000万円未満でも下記の二つに該当する場合納税義務があります。
- 新規設立法人が「他の者」に支配されている(特定要件)
- 上記の「他の者」および当該「他の者」と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者の基準期間相当期間(新規設立法人の基準期間)における課税売上高が5億円を超えている
4 消費税課税事業者選択届出書を提出している。
免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続です。
適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)に提出。
5 納税義務の免除の特例により課税事業者となる。
相続・分割・合併についての免除の特例により課税事業者となる場合があります。
- 相続によって相続人が被相続人の事業を承継した年において、基準期間となる前々年の被相続人の課税売上高が1,000万円を超えている場合
- 相続によって相続人が被相続人の事業を承継した年の翌年及び翌々年において、被相続人のその基準期間の課税売上高と相続人のその基準期間の課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合
- 合併によって新たに法人を設立した場合の合併事業年度において、合併法人のその合併があった日の事業年度の基準期間に対応する期間における各被合併法人の課税売上高のうち、いずれかが1,000万円を超えている場合
- 分割等によって新設分割子法人を設立した場合で、新設分割子法人の基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高として計算した金額が1,000万円を超える場合
設立してから2年は消費税を払う必要がないと言われることが多いですが、一定の場合には課税事業者となるためご注意ください。