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課税事業者のメリット、デメリット

今回は消費税の簡易課税のメリット、デメリットについて、触れていきたいと思います。

 

簡易課税とは、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」という。)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。

この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業(注)及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

消費税の計算方法には原則計算と簡易計算が存在します。

原則計算は課税売上に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額により計算されます。

つまりは、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた分が消費税として納める金額となるものです。

ところが簡易計算で使用するのは、預かった消費税のみです。

課税売上に係る消費税額から、その課税売上に係る消費税額に一定の割合をかけたものを、原則計算で言う預かった消費税(課税仕入れ等に係る消費税額)とみなすことによって、計算を簡易的にしてしまおうという制度が簡易課税です。

では、どのような場合簡易課税で計算した方が有利となるのでしょうか。

 

(簡易課税のメリット)

・課税仕入れの金額が極端に少ない時。

課税売上に対して、課税仕入れの金額が極端に少ない場合には、原則計算をしてしまいますと、預かった消費税の方が極端に多いため、控除できる金額が少なくなってしまいます。

この場合、消費税の簡易課税制度を適用することで、課税仕入れの金額が極端に少なくても、課税売上に対して、一定の割合をかけたものが控除できるため、場合によっては、原則計算よりも、納める税金がぐんとやすくなる事が考えられます。

例)年間総売上が1,500万円、仕入れなどの経費が500万円で、原則課税と簡易課税それぞれの場合

 

原則 → 1,300万円×8% -500万円×8%=64万円

 

簡易 → 1,300万円×8% -(1,300万円×8%×80%)=20.8万円

( )の中が、課税売上に対して、一定の割合をかけたものとなります。

今回の例では、第二種事業の「小売業」として、みなし仕入率80%で計算しました。

 

(簡易課税のデメリット)

・一度簡易課税を選択してしまうと2年間は原則計算に戻れない。(一定の場合には3年)

・課税仕入れの金額が極端に多い。

・多額の設備投資をして、還付申告となる予定だ。

この中でも、多額の設備投資にご注意ください。

多額の設備投資をしますと、本体価格は減価償却を通して一定期間で費用に落とし込むことになりますが、消費税はその設備投資をした期に一気に計算してしまいます。

例)年間総売上が1,500万円、仕入れなどの経費が500万円、設備投資として2,000万円の機械装置を購入した場合、原則課税と簡易課税それぞれの場合

 

原則 → 1,500万円×8% -(500万円+2,000万円)×8%=-80万円

 

簡易 → 1,500万円×8% -(1,500万円×8%×80%)=24万円

 

そうなんです、簡易課税を選択してしまいますと、経費や設備投資の際に支払った消費税は計算に一切影響しないのです。もっというと、課税売上に対して、一定の割合をかけたものを控除するため、絶対に還付申告にはならず、必ず納付となります。

設備投資をご検討中の方はお気をつけください。

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