• 消費税

輸出物品販売場に係る改正について

税理士法人サポートリンクの梅田です。
近年、輸出物品販売場制度に係る取り扱いがよく改正されています。
外国人旅行者が今後も多くなることが予想されますので、改正内容を簡単に紹介したいと思います。
 
・輸出物品販売場制度とは
輸出物品販売場(免税店)を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して通常生活の用に供する物品を一定の方法で販売する場合、消費税が免除される制度です。
 
※消費税が免除されるという制度ですので、免税事業者の方は輸出物品販売場を経営することが出来ません。

 
●平成26年10月1日以後適用

1.免税対象物品の範囲の拡大
食品類、飲料類、薬品類、化粧品類等の消耗品が免税販売の対象になりました。
なお、非居住者が国外における事業用又は販売用として購入することが明らかな物品は、通常生活の用に供する物品に該当しないため、従来と同じように免税販売の対象になりません。
 
2.輸出物品販売場を経営する事業者が保存すべき書類の追加
1日に販売する一般物品(消耗品以外の生活の用に供する物品)の額が100万円を超える場合、その非居住者の旅券等の写しを、一定の場所に一定期間保管することが必要になりました。
 
3.購入記録表等の様式の弾力化及び記載事項の簡素化
改正前は法令において定められた様式の使用が義務であったが、改正後は、法令で定められた事項が記載された書類であればよいということになりました。
 

●平成27年4月1日以後適用

1.手続委託型輸出物品販売場制度の創設
輸出物品販売場について、その販売場において免税販売する物品の免税手続を免税販売手続を行う事業者に代理させることができる制度の創設。
なお、この制度の適用を受けるためには、販売場の所在する場所、販売場を経営する事業者及び免税販売手続事業者についても一定の要件があり、それら全てを満たした場合のみ利用できます。
 
2.事前承認港湾施設内における輸出物品販売場に係る届出制度の創設
国内および国内以外の地域にわたって行われる旅客の輸送の様に供される船舶(外航クルーズ船等)が寄港する港湾の港湾施設内に、場所及び期限を定めて臨時販売場を設置しようとする事業者(輸出物品販売場を経営する事業者に限る)が、あらかじめ臨時販売場を設置する見込みの港湾施設について納税地の所轄税務署長の承認を受け、設置の前日までに臨時販売場を設置する旨の届出を提出することにより、その臨時販売場で免税販売を行うことが出来る制度。
 

●平成28年5月1日以後適用(一部4月1日以後の取引から適用)

1.免税販売の対象となる購入下限額の引き下げ
免税販売の対象となる購入下限額は、同一の非居住者に対する同一の輸出物品販売場における1日の販売価額(税抜)の合計額が、一般物品は1万円超、消耗品は5千円超とされていた。
今回の改正により、一般物品・消耗品のいずれについても5千円以上であれば対象となるようになりました。
 
2.非居住者が免税対象物品を海外へ直送する場合の免税手続の簡素化
非居住者が輸出物品販売場において免税対象物品を購入する際、国際第二種貨物利用運送事業者と当該物品の輸出に係る運送契約を締結し、その契約書の写しの提出及び旅券等の提示を行い、当該物品をその場で運送事業者に引き渡して海外へ直送する場合には、購入記録票の作成や購入者誓約書の提出等を省略できることとなりました。
 
3.商店街の地区等に所在する大規模小売店舗内の販売場に係る特例
商店街の地区等に所在するショッピングセンター等の大規模小売店舗を設置している者が、商店街振興組合又は事業協同組合の組合員である場合には、当該大規模小売店舗内で販売場を経営する他の事業者は、一定の要件の基、手続委託型輸出物品販売場の許可を受けることが出来るようになりました。
 
4.購入者誓約書の電磁的記録による提供・保存
非居住者が行う輸出物品販売場への購入者誓約書の提出は、免税対象物品を輸出する旨を制約する電磁的記録(購入者誓約書の記載事項を記録したものに限る)の提供で行うことが出来るようになりました。
 
5.免税対象物品の範囲の見直し
免税対象物品から、「金又は白金の地金」が除かれることになりました。
(こちらの適用は、平成28年4月1日以後の物品の譲渡等に適用されます)
 
2020年に東京オリンピックの開催が予定されています。
それに伴う外国人旅行者が多く見込まれるため、今後も輸出物品販売場に関しては改正がかかることが予想されます。
 
なお、詳しくは「輸出物品販売場における輸出免税について」と調べていただくと、国税庁HPにパンフレットがありますので、興味のある方はご覧になられてはいかがでしょうか。

神戸で税理士をお探しなら税理士法人サポートリンクにお任せください。