自己株式の処理

自己株式の処理

本日は自己株式について見ていきたいと思います。

 

1、自己株式の本質

会計上、自己株式の取得は資本の払戻しとされ、自己株式の売却は新株の発行と同等の性質のものとして取り扱われます。会計の考え方を踏襲し、税務においても自己株式の取得・売却については、資本等取引として課税所得に影響をおよぼさないものとされています。

そのため、発行会社において自己株式の取得は資本の払戻し、自己株式の売却は新株発行といった具合に資本金等の額の増加と考えているのです。

 

2、自己株式の取得取引の分類

法人税法において自己株式の取得は、3つの形態に分類し処理されます。

 

(1)相対取引

(2)市場買付

(3)公開買付

 

それぞれのケースについて見ていきましょう。

 

(1)自己株式の相対取引

自己株式の相対取引とは、市場を通さずに売買する取引のことをいい、中小零細や未上場の企業のほとんどの株式がこの方法によっています。

 

<発行法人側>

税務上、自己株式の有償取得は資本の払戻しに該当しますので、株主に交付される金銭等は、元本の払戻しの部分と利益の配当部分にわけられ、交付金銭等の金額が、その自己株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額については、みなし配当とされ、発行法人では利益積立金の取り崩しの処理をしなければなりません。また、元本の払戻しの部分に該当する資本金等の額は、資本金等の額から減額することとなります。

 

<売却株主側>

売却株主は、自己株式の相対取引を資本等取引と考えます。株式の売却により取得した金銭等は、有価証券の譲渡対価の部分と利益の分配の部分からなるものにわけられ、その自己株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額については、みなし配当とされます。

このように、相対取引による自己株式の取得には、みなし配当が生じるケースがあります。みなし配当は、受取配当金に該当するため、益金不算入の対象となりますので、会計上では譲渡益が生じていても税務上では、譲渡損が生じるという例もあります。

 

 

(2)自己株式の市場買付

<発行法人側>

市場買付の場合、証券会社を通じて売買されるため、株式の売り手からは買い手を意図的に選択する事が実質不可能となります。もし上記(1)の相対取引と同様の処理をしてしまいますと、もし仮にたまたま株式の発行法人に対して売却してしまいますと、それは売却でなく資本の払戻しとしての処理になってしまいます。これは意図せぬところでみなし配当を生じてしまうことになります。そこで、このような事が起こらないように、市場買付については、単なる有価証券の売買取引として処理します。

 

<売却株主側>

上記の理由により、売買処理します。

 

 

(3)自己株式の公開買付

<発行法人側>

公開買付の場合、売り手が買い手を特定することが可能となるため、相対取引と同様に取り扱われます。

 

<売却株主側>

法人株主の場合は、有価証券の譲渡対価の部分と利益の分配部分にわけられ、みなし配当が適用されます。個人株主の場合は、市場買付と同様に単なる売買処理となります。

 

 

(4)自己株式の処分

自己株式の処分差額については、資本金等の額の増減とし、損益取引でなく資本等取引として取り扱われることとなりました。

 

 

(5)自己株式の消却

自己株式の消却については、自己株式の取得時にすでに、資本金等の額の減少として処理されていることから、自己株式の消却時には特段の処理は不要となます。

 

 

自己株式の税務上の取り扱いを見て頂きました。

取得の形態により、処理の方法も若干違ってくるのですね。

自己株の取得だからと言って、安易に有価証券の売買取引とせず、みなし配当や資本金等の額の増減にまで目を向けていきましょう。

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