税理士ですから、節税の相談を受けることはよくあります。かつては、節税の
ために全額損金タイプの生命保険に加入するという方法がよく使われました。
今は全額損金タイプの生命保険は極めて限られた条件でしか利用できません。
それでは、法人契約の保険料を前納したらどうなるのでしょうか。。
深刻な経済不況が続くなか、経費の節減を狙い、生命保険の見直しを図るケース
が多くなってきています。しかし今でも、決算前に発生した活用使途のない余裕
資金のある社長から「今期は余裕資金があるから、加入している生命保険の保険
料を、この際、前納してしまいたい」というような相談があることがあります。
しかし前納したからといって、その事業年度内にすべてを損金処理できるわけで
はないので、注意が必要です。
例えば、保険料が全額損金となる定期保険の保険料(年払)を10年分まとめて
払ってしまった場合(9年分は前納)、当然ながら、支払った保険料をその事業
年度ですべて損金計上することはできません。
前納した保険料は資産計上することになりますが、支払った保険料のうち1年分
は必ず損金計上できると誤解しているされている方も多いのではないでしょうか。
仮に、3月決算の会社が、3月に年払い保険料を10年分払ったとしても、1ヵ月分
の保険料分しか損金に計上できないのです。
これは、そもそも年払保険料が「短期の前払費用」という特例扱いになっている
からです。法人税基本通達では、定期保険の保険料は「期間の経過に応じて損金
の額に算入する」とする一方で、「短期の前払費用(一定の契約に基づき継続的
に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時において
まだ提供を受けていない役務に対応するもの)の額はその事業年度の損金の額に
算入されない」と定めているのです。
しかし、「法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける
役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続
してその支払った日に属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを
認める」と定めています。
ですから、当期分と前納保険料を同時に支払った場合には、この条件を満たさな
くなるため、「短期の前払費用」の特例の適用ができないのです。
こののように、たとえ年払保険料でも、次年度以降の分も併せて前納したときは、
短期の前払費用に該当しなくなり、期間経過に応じた処理が必要となってくるの
で注意が必要です。

